マグスイッチ社の磁界コントロール技術 「アクティブシャンティング」
米国コロラド州にあるマグスイッチ・テクノロジー社は、円形の2層の永久磁石と磁場の方向性を高めるハウジング構造と 磁性体の極性の位置を変化させ磁界をコントロールする技術で国際特許を取得しました。
マグネット工具の、磁力のオンからオフ、オフからオンへスムーズな切り替え、ワークへの強力な方向性をもつ磁場発生、薄板に対しては磁場を浅くコントロールすることが可能になり、薄板一枚だけを吸着できるようになりました。この技術はマグスイッチだけです。
開発以来10年、いま全世界のものづくりの現場で、また自動車工業などの業務用の生産ラインで、広く使われています。
2層のマグネットと特殊ハウジング構造による磁界コントロール
磁場の大きさは極間の磁石幅、磁石サイズの体積に比例した潜在磁力で決まります。実際、保持力というのはワークに対して、磁性体が飽和状態をどこまで実現できるかの能力(飽和磁束密度)です。これは、マグネット自体の磁力、形状、極性の方向、マグネットを囲むハウジングの形状や、表面腐食度、両極の接触の度合い、対象物の組成、厚さに左右されます。
マグスイッチ・テクノロジー社のコア特許技術は、2つのマグネットを重ねて、上部のマグネットを180度回転する構造を作り、2層のマグネットの極性を合わせることにより(同極)強力な磁界を発生させ、また180度回転させ、異なる極性を合わせることにより(異極)磁界を打ち消す構造を考案しました。
また、マグネットを囲むハウジングの1つの相対する辺を薄く、もう一つの相対する辺を厚くすることにより、外部に漏れる磁力を極限まで押え、磁力をハウジングの中に閉じ込めワークの方向に集中的に磁力を放出する磁界コントロールが可能になりました。
マグスイッチのマグネット構造の側面からみた磁場解析図
2層のマグネットの極性を合わせ強力な磁力が発生し、ハウジング内で磁場を閉じ込め、ワーク方向に集中して磁場が発生しているのがわかる。ハウジングの外にはほとんど磁力は漏れていない。
マグネット配列の工夫による磁界の深さコントロール
マグスイッチ・テクノロジー社は磁石の配列による磁界コントロール技術の特許も持っています。この技術は重ねた薄い鋼板から1枚ずつリフトアップできる技術で、マニュアル式のリフティングマグネット工具や自動車工業の自動シートトランスファーの工程で、落下しやすくエネルギー消費が大きい従来のバキューム方式のカップにかわるグリッパーとして急速に採用が広がっています。
複数のマグネットを相互に極性を変えて配列した構造を下面からみた磁場解析図
マグネットが相互に磁力を打消し、磁界の深さを浅くコントロール。この状態で薄い鋼板を吸着させると、下部に重ねられた他の鋼板は吸着せずに一枚だけリフトアップすることができる。
マグスイッチ社のマグネットの特長
これらの構造により、次の特長をもつ画期的な永久磁石のマグネット工具が生まれました。
- 強力な吸着力で軽量・コンパクト
- 磁力のオン・オフ切り替えが切れよく軽くスムーズに
- 余分な鉄粉が付かない、作業現場がクリーンで安全
- 薄板でも1枚ずつ吊り上げる
マグスイッチ社は、このほか耐熱マグネットなど、数々な新技術を発表しています。今後新しい技術による新商品が発売されましたら、日本総代理店である愛知産業よりご連絡致します。ぜひASメンバーシッププログラムにご登録ください。
マグスイッチ社マグネット工具の品質保証
愛知産業では、マグスイッチ製品を安心してお使い頂けるよう、全てのマグスイッチ製品に1年間の品質保証を実施しています。弊社が定める製品保証規定に基づき、製品の無償修理を実施しております。詳しくは、商品に同封されている品質保証書の記載内容をよくお読みください。